店舗開発の支障移設マニュアル|標識・街路灯の工期と費用

「店舗開発を計画しているけれど、道路標識や街路灯が支障になりそう…」「移設の手続きや費用が見えず、工程計画に不安がある」といった悩みを抱える開発担当者も多いのではないでしょうか。

店舗開発において、公共占用物の支障移設は避けて通れない重要な課題です。特に、予算確保から行政協議、工事完了まで3ヶ月以上を要するため、開発計画の早期段階からの検討が不可欠です。

この記事では、店舗開発における支障移設を検討されている方に向けて、

  • 支障となりやすい公共占用物の種類と特徴
  • 物件別の移設費用と工期の目安
  • スムーズな行政協議のための実務ポイント

上記について、具体的に解説しています。

公共占用物の移設は開発計画の重要なリスク要因となりますが、正しい知識があれば適切にマネジメントできます。この記事を読むことで、計画段階から実務完了までの流れを把握し、スムーズな店舗開発につなげることができます。ぜひ参考にしてください。

目次

開発計画前に理解しておきたい公共占用物の基礎知識

よくある支障となる公共占用物の種類

商業開発において、日常的に支障となる公共占用物について説明します。

最も調整が多いのが道路標識で、店舗進入路の視認性確保や大型車両の通行に支障をきたすケースが頻発します。次に多いのが街路灯で、夜間の必要照度を確保しながらの移設検討が求められます。

地下では特に雨水桝や汚水桝、それらのマンホールが、駐車場計画や建物配置の制約となります。また、光ケーブルや通信設備のハンドホールは、舗装工事の支障となりやすく、移設費用も予想以上にかかることがあります。

さらに、消火栓や防火水槽は移設協議が困難で、その位置を前提とした建物配置計画が必要となります。バス停の上屋や標識も、店舗のファサード計画に影響を与えます。

公共占用物の移設|各物件別の対応方法

道路標識の移設について

まず、移設対象となる標識の現況調査を行い、基礎形状や設置高さ、周辺状況を写真と簡易図面で記録します。新設位置の選定では、道路構造令に基づく視認距離の確保と、店舗計画との整合性を確認します。

申請手続きでは、道路使用許可申請書と道路工事施工承認申請書の作成を行います。工事では、交通誘導員の配置計画や施工手順書の作成、現場の安全管理が主な業務となります。ただし、規制標識の場合は警察協議が必要なため、経験者のサポートを受けることをお勧めします。

街路灯・消火栓等の移設対応

街路灯の移設では、まず照度分布を考慮した新設位置の簡易検討を行います。現地での作業は、基礎寸法の測定、埋設配線ルートの確認、設置高さの記録が中心です。工事では、交通規制と安全管理、基礎工事の施工管理が主な業務となります。

一方、消火栓は移設そのものを避けることが望ましく、現況調査と建物配置への反映が主な業務です。やむを得ず移設する場合は、消防との事前協議が必要で、協議資料として現況図と消火栓までの進入経路図の作成を行います。なお、給水管の切り回しは専門業者への委託が必要です。

事業計画段階での予算どりのポイント

移設費用の項目別内訳と標準単価

道路標識の場合、基本的な工事費は撤去・再設置で20~30万円、基礎工事で15~20万円です。これに交通誘導員費用(2名/日で3万円)、安全施設費(5万円程度)が加わります。申請手続きに関する費用は5~10万円が目安です。

街路灯の移設では、撤去・再設置工事が25~35万円、基礎工事が15~20万円、配線工事が10~15万円程度です。仮設費用として照明車両のリース料(1日2万円程度)も必要です。

なお、これらは昼間作業の標準的な費用であり、夜間工事の場合は1.5倍程度を見込む必要があります。また、地域や現場条件により変動することにご注意ください。

補助金・助成金活用の可能性

公共占用物の移設における補助金・助成金について、実務的な観点から説明します。

多くの自治体では、商店街活性化や地域開発促進の観点から、店舗のファサード改善や駐車場整備に関連する補助制度を設けています。これらの制度を活用することで、道路標識や街路灯の移設費用の一部(通常20~30%程度)が補助対象となる可能性があります。

特に、バリアフリー化や歩道改良を伴う場合は、国土交通省の都市再生整備計画事業などの対象となることもあります。ただし、申請から交付までの期間が長いため、工事スケジュールを考慮した早めの相談が重要です。民間主導の開発では補助対象外となるケースも多いため、事前確認が必須です。

スケジュール管理のポイント

各占用物件の標準的な移設工期

道路標識の場合、基礎工事を含めて3~4日程度です。1日目は既存標識の撤去、2日目は基礎工事(コンクリート打設)、3~4日目で養生期間を経て新設工事となります。街路灯も同様の工期ですが、配線工事が加わるため4~5日程度必要です。

雨水桝や付随するマンホールの移設は、規模にもよりますが5~7日程度です。内訳は、既設撤去1日、新設桝の設置2日、配管接続2日、舗装復旧1~2日が標準です。

いずれも申請手続きには1~2ヶ月程度必要で、特に道路標識は警察との協議期間も考慮が必要です。また、悪天候による作業中止も想定した工程計画が重要です。

予算確保から工事完了までの全体スケジュール

まず現地調査と概算費用の算出に2週間程度、その後の社内予算確保に2~3週間が必要です。予算承認後、道路管理者への事前相談と図面作成に2週間、申請書類の作成と提出に1週間程度かかります。

申請から許可取得までは、道路標識で1~2ヶ月、街路灯で3週間~1ヶ月が目安です。許可後、施工業者との工程調整と施工計画書の作成に1週間、実際の工事に3~7日程度です。

全体では、予算確保の開始から工事完了まで、最短でも3ヶ月程度の期間を見込む必要があります。特に年度末は行政の審査が混み合うため、余裕を持った計画が重要です。

行政協議や申請のタイミング

まず工事着手の3ヶ月前までに、道路管理者への事前相談を開始します。この段階で概略図を用意し、移設の可能性や協議先の確認を行います。続いて2ヶ月前までに、実測に基づく詳細図面を作成し、本申請に向けた事前協議を行います。

道路使用許可申請は工事着手の1ヶ月前までに行い、同時に道路工事施工承認申請も提出します。道路標識の場合は、これより前に警察との事前相談を済ませておく必要があります。

なお、年末年始や年度末は審査に時間がかかるため、通常より1ヶ月程度の余裕を持った申請が推奨されます。

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