敷地内の大型看板の撤去工事|手続きから費用まで完全ガイド

看板撤去工事は、老朽化による落下の危険性や法的責任のリスクがある重要な工事です。適切な業者選定と安全な工事実施が、事故やトラブルを防ぐ鍵となります。(壁面看板、ポール看板、屋上看板などが対象)

この記事では、

  • 看板撤去が必要となる主なケース
  • 撤去工事の費用相場と影響する要因
  • 信頼できる撤去業者の選び方

について詳しく解説します。

目次

看板撤去の基礎知識と重要性

看板撤去が必要となる主なケース

最も多いのが老朽化による撤去です。長年の風雨や紫外線により、看板の支柱が腐食したり、表面が劣化したりすることで、落下などの危険性が高まります。また、店舗の閉店や移転に伴う撤去も一般的です。事業終了後も看板を放置すると、管理責任を問われる可能性があります。

建物の大規模改修や解体工事に伴う撤去、デザインの刷新による撤去なども主なケースとして挙げられます。さらに、条例の改正により、既存の看板が新しい規制に適合しなくなることもあります。台風や地震などの自然災害で損傷を受けた看板の撤去も、安全確保の観点から急を要するケースです。

このような状況で早期の撤去判断を行うことで、事故やトラブルを未然に防ぎ、管理者としての責任を果たすことができます。

放置することのリスクと法的責任

看板を放置することは、重大な事故や法的責任につながる可能性があります。特に老朽化した看板は、落下や部品の飛散により、通行人や周辺建物に深刻な被害をもたらす危険があります。このような事故が発生した場合、管理者は民法上の工作物責任を問われ、高額な損害賠償を求められる可能性があります。

また、台風や地震などの自然災害で損傷した看板が二次被害を引き起こした場合、予見可能な危険として管理責任が厳しく問われます。さらに、景観法や各地域の条例違反で行政指導を受けたり、固定資産税の継続的な負担を強いられたりすることもあります。放置看板が景観を損なうことで、地域住民とのトラブルに発展するケースも少なくありません。

撤去工事の基本的な流れ

看板撤去工事は、安全性を最優先に段階的に進められます。まず初めに、現地調査を実施し、看板の状態、設置環境、周辺状況を詳細に確認します。この調査結果をもとに、使用する重機や作業員の配置、安全対策などを含む具体的な撤去計画を策定します

工事当日は、作業エリアの安全確保から始まり、周辺への立入禁止措置や保護養生を実施します。その後、看板の電気配線の遮断、支持部材の切断、本体の解体といった順で作業を進めます。特に高所作業となる場合は、足場の設置や命綱の使用など、徹底した安全対策を講じます。最後に、撤去した看板の適切な処分と、跡地の補修・清掃を行い、工事完了となります。

看板撤去の費用相場と影響する要因

一般的な撤去費用の相場感

看板撤去の費用相場は、規模や設置状況によって大きく変動します。一般的な壁面看板の場合、小型(3㎡未満)で5〜15万円、中型(3〜10㎡)で15〜30万円、大型(10㎡以上)で30〜100万円が標準的な費用となります。ポール型の自立看板は、高所作業や重機が必要となるため、さらに費用が増加します。

基本的な撤去費用に加えて、足場設置費用(3〜10万円)、産業廃棄物処理費用(5〜20万円)、跡地補修費用(3〜15万円)などが必要となります。また、電気工事や許可申請が必要な場合は、別途費用が発生します。地域や業者によって料金設定は異なりますが、安全な撤去工事のために適切な予算を確保することが重要です。

費用を左右する主な要因

看板撤去の費用を大きく左右する要因は、主に設置場所と看板の状態にあります。高所に設置された看板は、クレーンや高所作業車が必要となり、通常の2〜3倍の費用がかかることがあります。また、繁華街や交通量の多い場所では、安全対策や交通規制のための追加費用が発生します。

看板の大きさや重量も重要な要因です。特に鉄骨造りの大型看板は、解体に特殊な機材が必要となり費用が増加します。さらに、看板の劣化状態も影響し、腐食が進んでいる場合は慎重な作業が必要となるため、追加費用が発生します。また、電気配線の撤去や基礎部分の解体が必要な場合も、大幅な費用増加につながる要因となります。

追加費用が発生するケース

看板撤去工事で追加費用が発生する主なケースをご説明します。まず、アスベストが使用されている古い看板の場合、専門的な除去作業が必要となり、通常の2〜3倍の費用が発生します。また、撤去後の壁面に予想以上の損傷が見つかった場合、補修費用が大幅に増加することがあります。

工事中に不測の事態で作業が長引いた場合、重機やクレーンの追加レンタル料が発生します。さらに、天候不良による工期延長、予期せぬ地中埋設物の撤去、電気配線の複雑な処理作業なども追加費用の要因となります。特に、看板と建物の一体化が進んでいる場合は、建物への影響を最小限に抑えるための慎重な作業が必要となり、想定以上の費用が発生することがあります。

信頼できる看板撤去業者の選び方

優良業者の6つの特徴

看板撤去を依頼する際、優良業者を見分けるための6つの重要な特徴をご説明します。

  • 必要な許認可を完備:撤去工事に欠かせない建設業許可証を持ち、産業廃棄物の適正処理のための許可も取得している業者です。
  • 豊富な実績と技術力:大型看板から小規模な撤去まで、幅広い工事実績があり、様々な状況に対応できる技術を持っています。
  • 透明性の高い見積対応:工事内容や費用の内訳を分かりやすく説明し、想定されるリスクや追加費用についても事前に明示します。
  • 徹底した安全管理体制:作業員の安全確保はもちろん、通行人や周辺施設への配慮を含めた具体的な安全計画を提示できます。
  • 手厚い保証とサポート:万が一の補修や不具合にも迅速に対応し、工事完了後も安心できるアフターサービスを提供します。
  • きめ細かな現地確認:事前の実地調査を入念に行い、現場の状況に応じた最適な撤去方法や対策を具体的に提案できます。

見積もり比較のポイント

看板撤去の見積もり比較では、単なる価格だけでなく、重要なポイントを総合的に確認する必要があります。まず、見積書に工事内容の詳細な内訳が記載されているかが重要です。撤去作業費、廃材処理費、足場設置費用、養生費用など、必要経費が明確に区分されているか確認しましょう。

また、安全対策費用や保険料が含まれているか、追加費用が発生する可能性のある項目は何かも重要なチェックポイントです。複数社の見積もりを比較する際は、工事範囲や作業内容に違いがないか、使用する機材や作業員数は適切か、工期設定は現実的かなども確認します。極端に安価な見積もりは、重要な作業が含まれていない可能性があるため、注意が必要です。

要注意な業者の特徴と見分け方

不適切な看板撤去業者を見分けるための重要な警戒サインをご説明します。最も注意すべきは、見積書の内容が曖昧で、口頭での説明のみを重視する業者です。特に、「今だけ特別価格」や「即決なら割引」などの強引な営業手法を使う業者には要注意です。

また、建設業許可証や産業廃棄物処理の許可証の提示を渋る、もしくは確認できない業者は避けるべきです。現地調査を省略したり、安全対策や近隣対策の具体的な説明がない業者も危険信号です。さらに、契約書の作成を避けようとしたり、追加料金の可能性について明確な説明がない業者、過去の施工実績や施工後の保証について具体的な回答ができない業者も、トラブルの可能性が高いといえます。

安全な撤去工事のための準備と注意点

事前の確認事項と必要書類

看板撤去工事を円滑に進めるため、事前の確認事項と必要書類について解説します。

工事により建物の外観が変わる場合は、必要に応じて建築確認申請も検討が必要となります。

近隣住民への配慮と対応

まず工事開始の1週間前までに、工事内容や期間、作業時間を記載した工事案内を配布し、近隣住民への事前周知を行います。特に直接的な影響が予想される隣接住民には、個別に説明を行い、連絡先を共有することが重要です

工事中は、騒音や振動を最小限に抑える工法を選択し、粉じん対策として防塵シートを適切に設置します。作業時間は地域の規制を厳守し、通常8時から17時までとします。また、工事車両の出入りによる交通障害を防ぐため、誘導員を配置し、路上駐車や路上での資材置きは避けます。万が一、苦情が発生した場合は、迅速かつ丁寧な対応を心がけることが重要です。

工事当日の確認ポイント

看板撤去工事の当日には、安全で円滑な作業進行のため、重要な確認ポイントがあります。まず作業開始前に、天候条件の確認を行い、特に強風や雨天時は作業の延期を検討します。作業員全員での朝礼では、工程の確認、役割分担、安全対策の再確認を徹底して行います。

現場の安全確保として、立入禁止区域の設定、保護養生の確認、交通誘導員の配置状況を確認します。また、使用する重機や工具の点検、作業員の安全装備(ヘルメット、安全帯など)の着用確認も必須です。電気の遮断確認、高所作業時の足場の安全確認、周辺建物との離隔距離の確保など、作業手順に沿って各工程の安全確認を実施します。緊急時の連絡体制も全員で共有しておくことが重要です。

よくあるトラブルと対策方法

契約時のトラブル事例と防止策

最も多いトラブルは、見積書に記載のない追加費用の発生です。防止策として、見積書の内訳を詳細に確認し、追加費用が発生する可能性のある項目について、書面での明確な説明を求めることが重要です

また、工期や作業時間に関する認識の違いによるトラブルも頻発します。これを防ぐため、契約書に具体的な工期と作業可能時間を明記し、遅延が発生した場合の対応についても事前に取り決めておきます。さらに、撤去後の跡地処理や補修範囲についても、具体的な仕様を契約書に明記することで、完了基準を明確にし、トラブルを防止できます。工事保険の加入有無も必ず確認しましょう。

工事中のトラブル事例と対策

看板撤去工事中に発生する代表的なトラブルと、その具体的な対策を説明します。最も注意が必要なのは、撤去作業中の建物への予期せぬ損傷です。これを防ぐため、事前の建物調査を徹底し、看板と建物の接合部分の状態を詳細に確認します。必要に応じて建物の養生も行います。

次に多いのが、撤去作業による騒音・振動トラブルです。低騒音・低振動工具の使用、作業時間の調整、防音シートの設置などで対策します。また、高所作業中の部材落下事故を防ぐため、十分な安全区域の確保と落下防止ネットの設置が不可欠です。予期せぬ天候の変化による作業中断も想定し、養生資材の常備と代替日程の確保も重要です。緊急時の連絡体制を整備し、即座に対応できる体制を整えましょう。

アフターケアに関する注意点

まず、撤去跡の防水処理が適切に行われていることを確認する必要があります。不適切な防水処理は、雨漏りや壁面の劣化につながる可能性があるため、施工直後だけでなく、一定期間経過後の状態確認も重要です

また、撤去箇所の仕上げ材が周囲と調和しているか、色むらや凹凸がないかの確認も必要です。特に壁面看板の撤去跡は、経年変化で目立ってくることがあります。さらに、アンカーボルトの完全撤去と補修箇所の強度確認も重要なポイントです。工事完了後も、定期的な点検を行い、異常が見つかった場合は、速やかに施工業者に連絡できる体制を維持することをお勧めします。

看板撤去後の対応とフォローアップ

産業廃棄物の適切な処理方法

看板撤去で発生する産業廃棄物の適切な処理方法について説明します。撤去した看板は、金属くず、廃プラスチック類、ガラス・陶磁器くずなど、材質ごとに分別する必要があります。特に、蛍光管や水銀灯などの照明器具は、有害物質を含むため、特別管理産業廃棄物として適切な処理が必要です。

処理の際は、必ず産業廃棄物収集運搬許可を持つ業者に委託し、マニフェスト(産業廃棄物管理票)を発行・管理します。このマニフェストは5年間の保管が義務付けられています。また、リサイクル可能な金属類は、可能な限り資源として再利用することが推奨されます。不法投棄や不適切な処理は重大な法令違反となり、厳しい罰則の対象となるため、適正な処理の徹底が不可欠です。

跡地の補修と美観対策

まず、アンカーボルトやビスなどの金属部材を完全に撤去し、コンクリートや壁面に残った穴は、耐久性の高い補修材で丁寧に埋め戻します。特に外壁の場合、防水性能を確保するため、下地処理から仕上げまでを段階的に行うことが重要です。

外壁補修では、周囲との色調を合わせるため、色合わせや吹き付け仕上げなどの技術を用います。また、看板を支えていた鉄骨部分は、根本まで撤去し、必要に応じて構造補強を行います。大規模な看板の撤去跡には、新たな化粧カバーや装飾パネルを設置することで、建物の外観価値を高めることも可能です。補修後は定期的な点検を行い、経年劣化による問題を早期に発見することが大切です。

必要な書類の保管期間

看板撤去工事に関連する書類の適切な保管期間について説明します。

まとめ:失敗しない看板撤去のポイント

業者選びの重要ポイント再確認

安全で確実な看板撤去工事のため、業者選びの重要ポイントを再確認します。第一に、必要な許可や資格の保持を確認することが不可欠です。建設業許可、産業廃棄物収集運搬許可などの法的要件を満たしていない業者は、即座に除外すべきです。

次に、見積書の透明性と詳細さを重視します。工事内容の明細、追加料金の可能性、保証内容などが明確に示されているかがポイントです。また、類似案件の実績確認と現場確認の丁寧さも重要な判断基準となります。安全対策や近隣配慮への具体的な計画提示、アフターフォロー体制の充実度、そして見積価格が極端に安くないことも、信頼できる業者の特徴です。

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